英語の習得には英語耳が必要。最近よく耳にすることですが、実際にはどうでしょう。なるべく多くの時間、英語を聴き、話すことが大切なのはわかりますが、日常生活のなかで実際にそんな時間を取れないという方がほとんどです。移動中がチャンスという話もありますが、大都会以外は自家用車移動が多く、運転中に意味不明な音声が流れると、睡魔に襲われがちです。英語にふれるまとまった時間を作るにはどうすればいいのでしょうか。
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時間づくりは「作業しながら」がベスト
覚えるための勉強や理解を深める勉強は、短時間であっても集中力が必要です。新しい知識を記憶の整理箱に収め、理解できなかったことがわかるようになるために考え続けて学習を進めるのに、料理や掃除をしながら行うのは能率が悪いでしょう。英語の学習においても、文法を理解したり専門性の高い単語を覚えるためには、集中力が必要です。しかし、英語耳を育てることに関しては、また別の領域を鍛えることになるため、必ずしも集中力は必要ないのです。
英語圏で暮らす方々にとっては、日常の生活そのものが英語耳を育てるものであり、英語を聴くことやその使い方を意識せずに過ごしています。それは、どの時間にこの英語を聞くなどという計画はなく、しかし、決して途切れることなく続いているものです。会話もテレビもラジオもない生活を何日も続ける人はとても少ないでしょう。英語耳を育てる計画が不要である英語圏での暮らしと、我々日本人の暮らしでは、この計画の要不要による違いが大きいです。
ある学校で、清掃時間に英語教材や簡単な英語によるニュース、英語の歌詞の歌などを校内放送で流していると聞いたことがあります。当初、生徒らからの評判は、授業以外の時間にまで勉強を強いられているようだと不評でした。ところが、3ヶ月ほど経過した頃、生徒の中で何かのついでのように口から英語が飛び出てきたという話がちらほら出てきたそうです。それをきっかけに英語学習への関心が強くなった生徒もおり、この校内放送を提案した担当者は大喜びしました。
新年度校内体制が変わり、その清掃音楽も変わったため、この逸話はここで終了です。もちろん、全生徒に学習効果が出たわけではありませんが、ある日突然、英語が口をついて出てくるという体験をしたのは、毎日計画的に、決まった作業時間に英語を耳にしたことによる効果ではないでしょうか。
計画的に、作業をしながら英語を聴くこと
英語を習得するには、日常生活のどこかに英語を聴く時間を計画的に設定することが有効でしょう。しかも、あえて作業する時間と重ねる。暮らしの中の作業、その一部に組み込まれることにより、英語も私たちの頭のどこかに自然に居場所を作るのではないでしょうか。作業をしながらの時間設定であれば計画を立てやすく、取り組みやすそう。これが英語耳を育て、英語圏で生活する人に近づき、英語の習得につながることでしょう。